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第12話 僕を信じるな③

Author: 花柳響
last update publish date: 2026-05-20 22:52:37
 つまり、私が「事故」や「病気」で婚約の継続が不可能になった場合、あるいは命を落とした場合、水科家は借金を返さなくていい、ということだ。

 背筋に、冷たいものが走る。

 私が何らかの理由で退場することを、最初から前提としているような条項。

 死の運命。

 その言葉が、文字になって喉元に突きつけられた気がした。

 天野家に嫁いだ花嫁たちが、過去にどうなったのか。具体的なことはまだ何も知らない。

 けれど、この紙切れははっきり示している。

 この家は、私を守るつもりなど一切ない。

 むしろ、私が消えることで何らかの清算が行われる仕組みが、すでに組み込まれているのだ。

 透の『僕を信じるな』という声が、耳の奥で蘇る。

 彼はこの契約の異常さを知っている。

 知っていて、私を遠ざけようとした。

 ゆっくり顔を上げ、黒瀬を見る。

「……過去の婚約者にも、この条項はありましたか」

 黒瀬の指が、一瞬だけ止まった。

 ほんの一瞬。

 けれど、完璧に制御された執事の動きに生じたその空白は、言葉よりもはっきりしていた。

「凛花お嬢様」

 黒瀬は何事もなかったように目を
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  • 死ぬために嫁がされた私、二度目の転生で冷酷御曹司と運命を変えます   第4話 退勤後の非常階段①

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